
600kmオーバーの長距離サイクリングにおいて、痛み対策に万全を期することが完走への道につながると考えており その対策をこの記事で網羅的に記載する。
この投稿前までに 主にライディング・フォームの修正(a)とペダリング・フォーム修正(b)の2点について自分なりの対応方法を述べてきました。それでは、この修正が自分の各部の痛みの低減にどのように役立ってきたのかをまとめて記載したいと思います。
<膝の痛みとその対策> 自分は、長年サイクリングをしてきたが 膝痛になったのは、2013年BRM914奥久慈 AJ千葉300kmブルベ 夜間(20:00)スタートの八溝山でした。9月中旬の台風の時期 中盤の150kmを過ぎた夜明けから台風の接近により大雨と強風が吹き荒れる中 茨城県の山中をレインウェア無しで走りました。この際、レインウェア無しによる脚部の冷えにより最後の250km過ぎ辺りから膝の痛みを感じましたが 何とかゴール、完走しました。この膝の痛みがこの後2013-BRM1014いろは坂で走行途中で再発し(夜間(24:00)スタートによる冷えも重なり) DNFとなりました。翌年2014年以降の本格ブルベ参加にあたっては、この膝の痛みを何として対策が必要と認識しました。
そこで実施した対策がペダリング・フォームの修正(b)にまとめて記載しました。ロングライダーの必要条件は 痛みを発生させずに 長時間ペダリングが継続できること。そして、その際のパワーが累積標高を含めて 完走できる時間制限を満足できることです。

より具体的には、大腿四頭筋を使った踏みこむペダリングをしないこと。腸腰筋と大殿筋を使って踏み込む力を抑制すること。そして、下死点でのブレーキ0を意識すること。このペダリングは、サドルポジション(後退位置、高さ低め)と密接に関係するので ペダリングのやり易さを自分で研究してみてください。また、この低負荷、高効率ペダリングにより 膝を含めた関節への過負荷が防止できて 痛み、そして故障を防げると考えています。

それにしても、痛みの事例に記載したように 雨の中レインウェアを着用せずに 100km以上の走行は、故障の原因になりますので 長距離サイクリングを楽しむためには十分留意をお願いします。
<腰の痛みと対策>腰の痛みは、ヒルクライムなど各部の筋力をフルに活用して高出力を継続する場合、そして、同様に600kmを越えるロングライドになると筋肉の各部から悲鳴が挙がります。これを強化する方法として、体幹を鍛えることを自分自身も実践してきました。
例えば、皆さん部屋の中で固定ローラーを回して楽しむと同時にトレーニングによりFTP値Functional Threshold Power) の改善など取り組んでいると思います。その後に、体幹を鍛える筋力トレーニングを取り入れることにより 各部の筋力の パワーをロスなく推進力に 変換できるようにする。
しかし、頑強な肉体を持つわけでもない自分には、限界がありました。いつになったら 腰痛を出さずに楽しく1,200kmとか走れるようになるのだろうかと考えたとき 自分には時間がないということが明白でした。色々な情報を基に試した結果。
そこで実践したライディング・フォーム修正(a)です。気が付いてみると適切なライディング・ポジションが設定できた状態にあれば、ちょこっと下腹部に力を入れる(腹圧を意識) と 上図 写真にあるように 体幹が安定し、両腕で上体を支えることなく ゆとりのあるライディング・フォームの完成です。これで、私の場合、腰痛の悩みは100%解決でした。もう、体幹トレーニングなんてやっていません。 600kmを走っても 筋肉疲労など発生しないレベルに 各部の筋力が強化されたこともベースにあるのかもしれません。
<尻の痛み対策>これは、大勢の方々が様々な対策を掲載しているので 改めて、自分独自の工夫はありません。 Selle AnatomicaタイタニコTシリーズ サドルを導入しました。このサドルは、重量がありますが 尻痛対策として他に変えることができません。高級ソファーに座っている感じです。

使用ポイントは、柔らかい 皮のテンションを自分の心地良さに合わせて設定すること。特にPBPのコースは、日本の道路と比べてアスファルトの段差が少なく(表面の荒れはある) 打撲による尻痛は、このサドルにより発生しなかった。(日本のアスファルトの凹凸は、気温が高温のせいか レベルが悪い)
さらに、お尻とサドルの間の擦れによる皮膚表面の傷対策として、Trans Japan Alps Raceで使われて有名になった Protect-J1をお尻に塗ることで お尻の皮膚対策は完了です。

私は、国内の1,000km、600kmブルベでその効果は、確認済。今回 PBP期間中 国内での使用と同じ1回/日の塗布で十分な効果を得ることができました。
<足指の痛み対策>私は、18歳からロードレーサーに乗っていました。 その頃のシューズは、皮のレーシング・シューズの下にシュープレートと呼ばれるペダル・プレートにはまり込み足を固定する皮ないし樹脂のプレートを固定する方法でした。この頃のシューズは、現在の物に比べ相当レベルが低く 緩いか、きついか 両者が混在していて 長距離サイクリングに供するレベルにはなかったと思います。(当時 お金もなかったことも根底にはあると思いますが)
また、この時代 力のロスを減らすため そしてシューズの踵の固定を確実にするために 足にピッタリの皮シューズを選んでいました。そして、2010年頃 私のビンディング・シューズもシマノのカスタム・フィット(幅広足タイプ・熱整形方式)を使用していました。
通常のサイクリングレベルでは、全く問題なかったのですが さすが600km走ってくると 右足の小指の腹部分にしびれが発生したり、その後痛みを感じるようになりました。従って、1,200km走るためには、対策が必要と考えていました。
皮膚科の先生に見ていただき、角質化した小指の腹の皮を丁寧に削ってもらい さらに、角質化を防止する薬を処方いただき しばらく様子をみました。
やはり、600kmを越えるレベルでは、痛みを抑えることができないと判断し、適切なシューズを探すために 様々なショップを訪問し、試着とアドバイスをいただきました。
結果 、幅広・甲高の私の足にジャスト・フィットしたのは、SIDIのMega-fitシューズでした。私が20代に皮のレーサーシューズでお世話になったSIDIに回帰したこと。これは、やはりシューズ専業メーカーの情報の多さなのかと考えています。

SIDI Megaを使うことにより PBP完走中 そして走行後も特段の痛みはありませんでした。
<首の痛みなどの対策>今回のPBP完走後に 家内から”首が前に曲がっている”と指摘されました。これは、シャーマーズネックになる前兆だったのかと考えています。首の痛みは発生していませんでした。
敢えて、ここに首の痛みを書いた理由は、三半規管の疲れがあったことを記載したかったためです。
三半規管の疲れの具体的な症状は、ブレストを折り返し、もう少しでルディアックに着く50km手前の下り坂で発覚しました。隣に欧米に方が自転車を寄せてきて 自転車をコントロールできてないと指摘したのでした。
暗闇の中、下り坂でスピードを35km/hr程度出したところで 50km/hrを越えるスピード感で これ以上スピード出せない。また、右側通行の右端を通行すべきですが ”よろよろと中央に寄ってしまう” このような症状が出ていました。
ここは、我慢してkeep rightを特に意識して 安全を確保しながら 何とかルディアックを目指しました。
後で判ったことですが、三半規管の疲れによる中央車線への蛇行は、休憩する(仮眠を取る)と大幅に改善することが判り、少々疲れすぎていたこと。また、これに影響したのは、首および肩の凝りによる三半規管への血流悪化が原因の一つであると推定しています。そして、状態が悪化するのは、視野が狭まる夜間走行であったことから 夜間前照灯の照明範囲および明るさの改善も必要だと考えています。(PBP中は、前照灯の右にあるGarmin Edge 1030が右側照明を遮り 右路肩が暗くなっていたために右側に寄れなかったと推定している。昼間は問題なかった。PBP対応のハンドル回りコックピットに関しては、後日紹介する。)
従って、今後1,200kmを越える長距離ライドにおいては、首、肩のケアと三半規管の疲れを発生させない工夫、前照灯の工夫が必要だと認識し 次回以降改善策を実践したいと考えている。
<全身の疲れ対策>
最後に全身疲労対策である。既に多くのサイクリストの方々がエネルギ補給、疲れ対策に下記写真に示すアミノ酸補給のジェルなどを使っていると思います。この疲れ防止のメカニズムなどは、専門の方々の解説を読んでください。
今回、PBPにおいては ジェルを2個くらい使ったが 携帯忘れもあって 通常ブルベのように2回/日というような頻度で使わなくても疲労感が少なかった。
通常のブルベにおいては、150km程度の距離を過ぎたあたりから 2回/日程度 距離に合わせてアミノ酸を補給することで 疲れ知らずでサイクリングが継続できる。もちろん、通常の食事によるエネルギー補給が十分であること。ミネラル、食物繊維などの補給に関して バランスを良く摂取できていることも重要である。(この点に関しても 後日 記事にします。)

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